テニスラケットに張るストリングには大きく分けて3つの種類があります。
違いは原材料で、ナイロン、ポリエステル、そして動物の腸を使用したナチュラルガットです。
ただナチュラルガットのことを聞いたことがあっても、ほとんどの方はナチュラルガットを使ったことがないのではないでしょうか。
マイナーということもありますが、ぶっちゃけナイロンやポリに比べて高価だからですよね。
ものによってはナイロンストリングの5倍以上するもの(1万円以上)も存在します。
え!?ガット1本にこんな値段するの?と思うほどです。
となれば普通は安いナイロンやポリガットを使用する方が多いのは当たり前。
しかしナチュラルガットには他の素材にはない長所が存在するのも事実です。
今までナチュラルガットを張ったことのない方も、この記事を読んでナチュラルガットの理解を深めてもらえれば幸いです。
もしかしたら1回くらいは使ってみようかな?という気になるかもしれませんよ。
ナチュラルガットってなに?
ナチュラル(天然)ガットは動物の腸を寄り合わせて作られています。
当初は羊の腸を使用していましたが、現在はほぼ牛の腸を使用しています。
1本のナチュラルガットを作るためには牛が3頭も必要だそうです。
そりゃあ高価なはずですね。
ちなみに羊を使わなくなった理由はテニスが世界的なスポーツとなり、需要が多くなり、供給(羊)が追い付かなくなったこと。
もう1つは羊はストレスに弱いせいか腸の品質にムラがあったことの2つだそうです。
確かに羊と牛を比べると圧倒的に牛の腸の方が長そうだし、腸も強そうですよね。
牛の腸をストリングに仕上げる行程も手間がかかりそうで、価格が高いのも仕方ないのかもしれません。
ナチュラルガットの特徴
そんな高価なナチュラルガットですが、ナイロンやポリには無い特徴があります。
それは柔らかい打球感と高い復元性能です。
ナチュラルガットの柔らかい打球感
ナチュラルガットは天然素材のためか、打球感が柔らかいです。
柔らかいというか、ボールを軽く弾いてくれるのが分かります。
また通常はスウィートエリアを外すと打球感は固くなるものですが、ナチュラルガットではそれほど不快は感触はありません。
ナチュラルガットの復元性能の高さ
これはガットを張っていると分かるのですが、ナチュラルガットはストリングマシンでガットを引っ張るとしっかりと伸びます。
ナイロンより伸びると思います。
ちなみにポリはほとんど伸びません。
ナチュラルガットはしっかりと伸びるのですが、戻ろうとする力が強く、そのためボールの飛びが良く、テンションが高いまま維持されやすいです。
初めてナチュラルガットを張った時にすぐに分かるのがボールの飛び。
軽い力でボールがよく飛んでくれます。
トランポリンをイメージすると分かりやすいですが、弾力性が高く、復元能力の高いナチュラルガットの特徴がボールの飛びに反映されていると言えますね。
またナチュラルガットはガットを張ってしばらく経ってからもガットのテンションが落ちにくく、これが性能を長い期間維持してくれます。
ナチュラルガットのメリット・デメリット
ナチュラルガットの特徴から考えられるメリットは4つ。
・ボールの飛びが良い
・ボールの打球感が軽く、柔らかいために打球の衝撃を緩和してくれる
・テンションが落ちにくいため、ボールを弾く性能を長く維持できる
・天然素材により弾力性能が高く、ボールをホールドしてくれるためコントロールしやすい
そしてナチュラルガットのデメリット4つ
・高価である
・雨や湿度、温度変化に弱い
・耐久性が低く、切れやすい
・ガットの表面は凹凸があり、スナッチバックによるスピン効果を得られにくい
このうち雨による性能劣化については、最近のナチュラルガットはコーティングされているために、昔ほど気にしなくてよくなっています。
またスピンについては全くかからない訳ではなく、ポリガット使用時のようなスピンがかからないという意味と思って下さい。
ナチュラルガットが向いている人
結局、ナチュラルガットはどんな人にお勧めなのか?ということですが、以下のような方にはナチュラルガットが向いています。
1少ない力でボールを飛ばしたい方
2手首、肘を痛めている方や予防したい方
3ソフトな打球感を求めている方
4フラット、フラットドライブ主体のスウィングをする方
5コントロール主体のテニスを目指している方
ナチュラルガットが向かない人
逆にナチュラルガットが向いていない人は以下のようになります。
1スウィングスピードが速く、自分の力でボールを飛ばしたい方
2ガツンとした手ごたえのある打球感を感じたい方
3スピンを強くかけたい方
BABORAT(バボラ)のナチュラルガット、トニックプラス(ロンジビティ)を張って使った感想
元々テニス肘を持っていることもあり、僕は常に肘のケアを考えていました。
ですが、このところ毎回のようにテニスの後に腕に熱を持つようになり、このままではテニス肘が再発しかねないと思っていたところでした。
ちょうどボーナスが出たこともあり、肘のケアのために思い切ってナチュラルガットを張ることにしたのです。
選んだガットはナチュラルガットの中では最も安価なバボラのトニックプラス(ロンジビティ)です。
トニックプラスには2つのタイプがあって、1つは打球感を重視した「ボールフィール」
もう一つは耐久性を重視した「ロンジビティ」です。
僕が選んだのはロンジビティ。
高価なナチュラルガットを使うのですから早く切れてしまってはもったいない、という貧乏根性からロンジビティを選びました(>_<)
ナチュラルガットの価格差はどこから?
トニックプラスはナチュラルガットの中では最も安いものです。
同じ牛の腸なのに、どこから価格差が生まれてくるのかということに疑問を持つ方もいると思います。
トニックプラスが安い理由は、高価なナチュラルガットを作る時に選別から外れた言わばB級品の牛の腸を寄せ集めて作った商品のようです。
確かに1万円を超える高価なナチュラルガットは綺麗な飴色をしていて透明感があります。
残念ながらトニックプラスロンジビティには透明感はありません((+_+))
ただナチュラルガットには違いない。
少なくともポリガットよりは肘に優しいだろうという考えでトニックプラスを選びました。
トニックプラスの打球感
さすがナチュラルガット!
圧倒的に柔らかい打球感です。
特に前回はポリガットを張っていたために、その違いは明らか。
そしてポリガットとは比べ物にならないほど肘に優しい。
テニスの後もそれほど腕がだるくなったり、肘に違和感を感じることもありませんでした。
ナイロンのマルチタイプのようなグニュグニュとした打球感もなく、ポーン!ポーン!と軽々にボールが飛んでくれます。
なんてボールが軽いのか!?
空気圧の低い高原でテニスをしているようにボールが軽く飛んでくれます。
ナチュラルガットならではの打球感です。
ナチュラルガットの不満点
ナチュラルガットには良いことばかりではありません。
不満点もいくつかあります。
まず強いスピンがかかりづらいということ。
前回使っていたのがポリガットだったため、どうしてもポリガットと比較してしまうとスピン性能はポリガットの方が上です。
ナチュラルガットはポリガットのように表面がつるつるではないために、スナッチバックが起こりにくいです。
スナッチバックとはボールがストリングに接触した際にストリングがズレて瞬時に戻る現象を言います。
これによりボールにスピンがかかるという仕組みです。
ポリガットは表面が滑らかなことと、ほとんど伸びない素材であるためにスナッチバックが効きやすい。
ナチュラルガットは表面がデコボコしていることと、使用しているうちにイカの干物のように表面がささくれてくるため、余計に抵抗が強くなります。
そのためスナッチバックが起こりにくく、スピンもかかりづらくなるという訳です。
でも僕の不満点はこの1点だけ。
元々それほどスピンをかけるような打ち方をしていなかった(おっさんテニス)ということもあり、スピン性能を除けば満足しています。
トニックプラスの評価と寿命
先に書いたようにおおむね満足しています。
あとは耐久性の問題ですね。
テニスを5回ほどしましたが、やや表面がささくれてきました。
このささくれが多くなってモワモワしてきて、中心が細くなると終わりがやってきます。
果たしてそれがいつになるのか?
3か月くらいは持たせたいと思っていますが、この調子だと2か月が限界かもしれません。
僕はそれほどスピンをかけるタイプではないため、ガットが切れるまでにテニスが20回くらいはできそうです。
ですが常にスピンをかけるような方にはもっと早く寿命が訪れるでしょうね。
せっかくのナチュラルガットなので大事に使っていきたいと思います。
ナチュラルガットまとめ
テニスをしているなら1度は使ってみたいナチュラルガットです。
しかしネックになっているのが価格だと思います。
しかし僕の使っているバボラ、トニックプラスならそれほど高くありません。
楽天市場の最安値は\3,430(送料別)
Amazonの最安値は¥3,500(プライム会員無料)
さらにネット通販ならバボラのナチュラルガット最上位機種であるVSチーム125が¥9,612➡¥5,000となっています。
やっぱりネットでのお買い物は安く買えるんだなと思いましたね。
ガットはどこかのショップに持ち込んで張ってもらうことにはなりますが、ナチュラルガットは店頭で割引されているところをあまり見ないので、ネットで購入しショップに持ち込むのが最もお得ではないでしょうか。
あなたもナチュラルガットの感触を一度は味わってみて下さい。